『 ぼくは、はじけた 』
ぼくは、雨のひと粒です。
これから地上に、落ちていくのです。
今、ぼくには夜の雲にさえぎられ、
地上はぼんやりと霞んで、よく見えません。
何処に落ちてゆくのか、わかりません。
どんなところに落ちるのか、よくわかっていないのです。
ほんとうは、雨でも、雨のひと粒でも、翼をもちたかったのです。
翼をもって、あっち、こっち、自由にはばたいて、
ふふんっ!
気ままに空を飛んでいたいと、思っていたのです。
ぶる~っん! ぶる~っん! ってね!
風がやって来ました。
あいつには、かなわない。
昔から、そう決まっていました。
ぼくには翼はないけれど、
風にのっかって気ままな旅に出てみたい、
なんとか手立てはないものか、
ずうっーと、かんがえていたんです。
ひゅう~っう! ひゅう~っう! ってね!
飛んでいく、飛んでいく、
落ちていく、落ちていく、
すうぅぅっ~い! すうぅぅっ~い!
ああっ、 地上が見えて来た。
灯りが、ひとつ、ふたつ、みっつ、よっついつつむっつななつ、、、、
、、、、、、、、、、、。
よかった、、、、 ぼくはあそこに落ちるんだ。
飛んでいく、飛んでいく、
落ちていく、落ちていく、
すすうぅぅっ~い! すすうぅぅっ~い! すすうぅぅっ~い! すすうぅぅっ~い!
ぼくの翼がはばたいている。
近づいて来た、、、 近づいて来た、、、
落ちていく、落ちていく、
ぱちっ~~~ん!
ぼくは、はじけた。
terry-nakata