『 ゆきむし 』

 

 

 

「今年も、ゆきむしが、いっぱい飛びはじめたよ」

 

北海道の友人が電話で教えてくれた。

 

そうかぁ....、飛びはじめたのか...、もう、北海道は冬だねぇ。

 

寒くなった野山にとびかうゆきむしの姿を思い浮かべる。

 

秋が終わり、木枯らしが吹き、雪が降りそうなになると、

 

季節の到来をおしえてくれる。

 

 

澄んだ、青白い、小さな小さなはねをいっぱいつけて、

 

あわ雪のように、ふーんわり、ふーんわりとやってくる。

 

僕の手のひらにおいでって、招き入れると、

 

手のひらの小雪がさあーっと溶けてしまうように、

 

指にかすかに触れただけで、死んでしまう。

 

 

小さなはねが、はりのように身体に刺さって、イタイイタイっと泣いているのかな。

 

ごめん! いそいで空にかえしてあげても、

 

あわ雪のようにひらひらと落ちていった。

 

 

 

ほんとうの名前は知らない。

 

繊細で、そこはかないこの虫を、北海道(ここ)の人は、ゆきむしと呼んでいる。

 

 

雪に、においがある。

 

いまにも雪が降りそうになると、天からにおいが降りて来る。

 

曇り空を見上げ、「雪が降るね?」 と問うと

 

村の古老は、「うん、うん」と笑っている。

 

あれは、ゆきむしが教えてくれているんだろう。

 

 

 

てりー

 

 

 

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新春雪景色三つ (土, 03 1月 2015)
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