『 居酒屋トレッキング 』

 

 

 

 さて、仕事も一段落ついた。時間もそろそろ。お散歩に出かけるか。

夕方、5時少し前、燈も灯しごろ、毎夜(いつも)のように、居酒屋めぐり。

 

 今夜は何処で遊ぼうか、広島駅前周辺、流川、新天地、本通りあたりをさまよってみるか。それとも横川駅前界隈か。趣向を変えて己斐附近まで足をのばすか。その日その夜の気分次第、足まかせ。暮れなずむ街並へ、ぎーこ、ぎーこ、ぎーご、自転車をこぎだした。この自転車も油を飲ましてやらにゃーいかんな。

 繁華街、商店街、盛り場、そんなところにも僕好みの居酒屋はあるけど、一本、通りをやり過ごすか、その小路のその路地裏を回ったあたりに存外面白そうな夜店はあるものだ。そんなお店を探し求めてまたぞろ、ぎーこ、ぎーこ、ぎーご、自転車をながしてあるく。

 

 ここの店の構えはどうだろう、見栄えはいいけどちょっと安普請だな。こっちは構えの拵えは上等だけど値段が高そうだな。御通しと銚子一本でン千円だなんてネ、くわばらくわばら。ここはなんか気楽な感じでよさそうだな。背広姿が2、3人はいっていたよ。サラリーマンに人気がある店というのはいいね。でも酔っぱらうとうるさいからなあー。もう少し他を探そ。ぎーこ、ぎーこ、ぎーご。

 

 ああっ、あそこの赤ちょうちん! なんか雰囲気いいなあー。ぎーこ、ぎーこ、ぎーご。 

 ここっ、ここっ、こういう店を探していたんだよ!入り口にはり出してあるお品書きの看板、居酒屋の通はこういうものをちゃんとチェックしてから中へはいるもんだよ、それが通だよ。

 ええーと、今日のおすすめに、店長のおまかせ料理と、よしっ、決めた! あれ、中から子供の声が聞こえる、はしりまわってるよ! ....。 やめた、ほかへ行こ。ぎーこ、ぎーこ、ぎーご。

 だいたい居酒屋に子供がいるなんて、おかしいよ。 ぎーこ、ぎーこ、ぎーご。

 

 僕は、居酒屋が開いたか開かないかという早い時間に入るのが大好き。

「もう、いいの?」って暖簾をくぐって中にはいる。

「いいですよっ」って言われたらいいし、

「あいすいません、も少しなんですけど」といわれたら、

「じゃー待ってるから、お酒だけ燗つけてくれない?」とカウンターにつかまってしまう。

「そうですか」といって出された温燗を御猪口に手酌でついでちびり、ちびりとやりだす。

 何処の居酒屋でも開店前後というのは戦争状態、準備と段取りにてんてこまい。その様子を肴にいっぱい飲む。段取りのいい店、悪い店。板前さんの包丁さばき、使用人の身の動きに無駄があるか、ないか。奥のちゅう房のようす。棚に並べておいてある小皿、手皿、中鉢、大鉢の好み。亭主、女将の人柄物腰。この店の技倆をさぐる。こんな時間が大好き。たったこれだけのことでも、けっこう人生勉強になる。

 

 「お待たせしました。何にします。」待ってました。時間はたっぷりあった。でももう一度お品書きをみなおして、他にはないこの居酒屋の特別メニューを一品だけ注文する。他に注文しない、一品にきめる。

 僕の経験からして、店もよし人もよし礼儀もよい店は、味もよし。板前さんとお話し合いをするようにしてゆっくり料理をいただき、「ごちそうさん」を言って、さっと店を出る。

 うふっ、そんなの大~~好き!

 

ぎーこ、ぎーこ、ぎーご。 ああー、疲れてきたよ。ぎーこ、ぎーこ、ぎーご。

見てまわるだけの ”居酒屋トレッキング”も、けっこう疲れるよ。もう、いい運動になったし、居酒屋のにおいはかいだし、かえろ。

 

 

terry

 

 

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